奥村一正特許事務所コラム

実用新案と特許

2018.2.4

 ときどき実用新案の出願相談を受けることがありますが、私は、できる限り特許で出願することをお勧めしています。
 実用新案は無審査で登録されますのでたしかにハードルが低いですが、権利行使にあたっては特許審査と同等の技術評価書の作成を特許庁に依頼する必要があります。技術評価書作成における審査は、特許審査に比べて甘いことはなく、特許と同じレベルです。そして、作成された技術評価書で進歩性なしとされると権利行使はむづかしくなります。すなわち入り口のハードルは低いですが、最終的には特許と変わらないハードルをクリアしなくてはなりません。
 また、実用新案は物品に関する考案しか出願できません。つまり、なんとか方法やソフトウエアに関するものは出願不可です。
 さらに、実用新案の権利期間は出願日から10年間ですので、特許の20年間に比べると短いです。
 戦略的に、最初は実用新案で出願し登録しておいて、後に特許に変更するという高等テクニックもあることはありますが、費用がかかるので必要性を十分に検討するべきです。
 実用新案の相談をされる方は、発明(考案)の技術レベルが特許ほど高くない(つまりハイテクではない)とお考えの方が多いですが、ハイテクでなくても特許にすることができます。つまり、過去に同じような事例がなく、かつ効果が認められれば、特許査定を受けることができます。そして既に述べたように、特許の方が権利期間が長く、また第三者に対するけん制力も強いと思います。
 アイデアを思い付いたら、遠慮せずに特許出願を検討しましょう。

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