賢く特許をとる方法(その2)
2018.7.24
前回のその1では、先行文献との差別化、効果について当初明細書等を充実させることを述べました。
今回も当初明細書等についてです。
審査を受けて、たいていの場合、拒絶理由が通知されますが、新規性、進歩性以外の記載要件(特許請求の範囲や明細書における書き方)での拒絶理由は、無駄に時間とお金を使うことになり賢くありません。例えば、記載されている内容を読んでも意味が分からない、特許請求の範囲の記載内容と明細書の記載内容が対応しいない、などがあります。
審査官をしているときに、このようなことを審査官から指摘を受けてから記載内容を修正するという方針?と思われる案件が多くありました。しかしながら、これは賢くありません。
なぜなら、拒絶理由を通知されて対応するとほとんどの場合、弁理士に対する費用が発生するからであります。また、それだけではなく、一度拒絶理由を通知されて記載の内容を修正すると、次の審査において新規性・進歩性に関する(いわゆる本質的な)拒絶理由通知(専門用語で「最後の拒絶理由」)を通知されると特許請求の範囲に対する修正内容に制限を受けることになります。そうすると、本来欲しい権利がとれない可能性が高まってしまいます。
したがって、当初の明細書等から拒絶理由を受けない配慮(特に、記載要件の拒絶理由は損です)が、賢く特許をとるために必要です。